第63話 / 全71話

第63話

彼は目を丸く見開いた。その瞳には、すぐ目の前にいる私の顔が映っている。口移しした薬は半分だけ飲み込まれ、残りは口の端からこぼれて、顎を伝い首筋へ流れていった。慌てて拭おうとした瞬間、彼に手首を掴まれる。

「……何してる?」