第6話 / 全71話
第6話
もちろん。すべての人間が、私の意図を理解できるわけではない。例えば、工部侍郎。
ある日、私は工事現場を視察していた。そこで、河川工事の進捗を確認している工部侍郎を見つけた。もしかしたら、こういう技術系の官僚なら、現代人らしい考え方が残っているかもしれない。そう思った私は、何気なく尋ねた。
「工部侍郎。」
「一つ聞きたい。」
「一つの大きな工事で、最も重要なものは何だと思う?」
彼は真剣な顔で考えた。
「材料……でしょうか?」
「違う。」
「では、職人ですか?」
「違う。」
「予算……?」
私は頷いた。
「それも重要だ。」
「では、他には?」
工部侍郎は腕を組み、長い時間悩んだ。そして、恐る恐る口を開いた。
「……祭祀、でしょうか?」
私。
「……」
なるほど。この人ではない。現代人なら、工事の成功を祈る前に、まず計画や管理を考えるはずだ。そう思った。……のだが。
半月後。工部から新しい制度案が提出された。《国家工事管理制度》。すべての工事は事前に計画を作成。期限を設定。担当者を明確化。進捗を定期確認する。その結果、工事の効率は大きく向上した。
私はその報告書を眺めながら、しばらく言葉を失った。……私はただ、転生者かどうか確認しただけなのだが。なぜまた国の制度が改善されている?
その後。私は一人ずつ試す方法を諦めた。朝廷には官僚が多すぎる。この方法では、いつまで経っても終わらない。それに最近、皇帝も明らかに私の異変に気づき始めている。このまま続ければ。夫を見つける前に、私自身が怪しまれてしまうかもしれない。
だから私は方針を変えた。個人ではなく、組織ごと調べることにした。まずは六部から確認する。最初の標的は、戸部。財政を担当する部署だ。もし現代人がこの世界に来ているなら、最も痕跡が残りやすい場所は、おそらくここだ。
数字。統計。管理。現代人が得意とする分野が集まっている。
私は戸部の官僚たちを集め、近年の財政状況について報告させた。すると。彼らは一斉に話し始めた。土地税。商業税。塩の収入。倉庫の管理。帳簿の記録。次から次へと説明が続く。正直、途中から頭が痛くなってきた。
そして、一時間ほど聞いた後。私はとうとう我慢できずに尋ねた。
「では。」
「この国が一年間で生み出している富の総量は、どのように把握している?」
その瞬間。戸部全体が静まり返った。戸部尚書は、しばらく私を見つめた。
「殿下……」
「国全体の富……ですか?」
「そのようなものを……どう計算するのでしょうか?」
私はそこで気づいた。当然だ。この時代には、国家全体の経済規模を数値化するという考え方自体が存在しない。しかし。
三日後。戸部から一つの新しい奏上書が届いた。《国家富力統計計画》。そこには、土地。人口。商業活動。生産量。流通状況。国全体の経済を把握するための具体的な方法が書かれていた。
私は読み終えて、完全に黙り込んだ。……。私はただ、現代人を探していただけなのに。なぜまた財政制度改革を起こしている?
その奏上書を見た皇帝は、大いに喜んだ。
「これは素晴らしい。」
「すぐに実施せよ。」
私はその横で、ただ呆然としていた。
次の標的。工部。私は再び、現代人を探すための質問を試した。工事現場を視察していた時。私は何気なく尋ねる。
「今年の計画は予定通り進んでいるか?」
工部尚書は首を傾げた。
「計画……?」
「殿下がおっしゃるのは、工事の日程のことでしょうか?」
私は頷いた。
「まあ、似たようなものだ。」
結果。半月後。工部から新しい制度が発表された。《年度工程計画制度》。すべての工事に明確な目標を設定。段階ごとに確認。責任者を決める。その結果、工事の進行速度はさらに向上した。
私はもう何も言えなかった。この時代の人間。一体どうなっている?私は転生者を探しているだけなのに。なぜ私の周囲から、大周という国そのものが変わっていくのだ。
それでも。どれだけ試しても。私は彼を見つけられなかった。聞き覚えのある言葉。現代人特有の考え方。懐かしい反応。何一つ見つからない。
もしかして……。私の考えが間違っていたのか?もしかして。彼は、この世界には来ていないのか?
そんな疑問が頭をよぎった時。落ち込んでいた私に、突然転機が訪れた。
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