
あらすじ
たった百字で校草を落とし、噂が落ち着く前にブロックした。彼は別の誰かのネックレスを大事にしている。白月光と小作文と公開の詰問が、同じキャンパスに揃う短編。
タグ
- 億万長者
- ニューアダルト&学園
- ロマンチックコメディ
- 学園恋愛
- 高嶺の花
- 溺愛
- 御曹司
- ラブコメ
- 勘違い恋愛
- 大学生
第1話
学園一のイケメンは、神も嫉妬するほど整っている。なのに私は、たった100字のラブレターで彼を落としてしまった。落とすやいなや、即座にブロックした。
「大事にしてるそのネックレス、初恋の人の?」
私は問い詰めた。
「ああ」
「なら、なんで私にちょっかい出してくるの!」
腹いせに彼の胸を殴りつけ、涙までが勝手にこぼれてくる。学園一のイケメンは慌てて私の涙を拭き、慎重に口を開いた。
「先にちょっかい出してきたの、お前のほうだろ……」
バー。
薄暗い照明の下、色気たっぷりの美女が際どいプライベート写真を私の前に置いた。
「湊くんと別れなよ。何年いても、あいつはあなたを妹にしか見てなかったんだから」
向かいの席にいるこの女は、経済学部のマドンナだ。濃い香水をまき散らし、自分では女の色気が足りてるつもりらしい。
私は眉をひそめ、冷たい目で言った。
「湊に、自分で言わせなさい」
マドンナは準備万端だった。携帯から、さらに親密な写真を何枚も呼び出し、羞恥で頰を赤くする。
「私が言おうが、彼が言おうが、同じことよ」
写真の二人の過激さは、見ていられないほどだった。
私は強い酒を何杯も一気に煽り、目をわずかに充血させて言った。
「あいつが私を振るなら、あなたも振るわ。そんなヒモ、あげる。いらない」
目次
15 話
第1話
学園一のイケメンは、神も嫉妬するほど整っている。なのに私は、たった100字のラブレターで彼を落としてしまった。落とすやいなや、即座にブロックした。 「大事にしてるそのネックレス、初恋の人の?」 私は問い詰めた。 「ああ」 「なら、なんで私にちょっかい出してくるの!」 腹いせに彼の胸を殴りつけ、涙までが勝手にこぼれてくる。学園一のイケメンは慌てて私の涙を拭き、慎重に口を開いた。
続きを読む第2話
酒は失敗のもと、と言う。まったくその通りだった。 翌日、二日酔いで目が覚めた私は、自分が学園一のイケメンに送った告白のラブレターを見て、自分を殴りたくなった。 「誰でもいいのに、なんで御堂蓮に手出したの!」 学食で、私は親友の大声を慌てて止めた。親友は声を潜めた。 「学内にあのマイバッハ、知ってる?」 私は首を横に振った。 「御堂蓮の」 「実家がとんでもなく太いらしいよ。嘘つかれるのが一番嫌い。
続きを読む第3話
夜の自習のあと、御堂蓮は女子寮の下で私を待ち構えていた。 整った眉目に、真っ赤な怒りが燃えている。 「お前から告白したんじゃなかったのか」 「捕まえたと思ったら、すぐ捨てる気か。ん?」 語尾が上がって、少し艶があって、それに……拗ねてる? 御堂蓮は一歩ずつ私を壁際へ追い詰めた。吐息が交じり合い、もう触れそうな距離になる。私は顔をそらし、両手は無意識に彼の胸へ当たっていた。 どうする。
続きを読む第4話
「若葉、顔真っ赤! ひょっとして、えっちなことした?」 ルームメイトの森川美々は声が大きく、フロア中に聞こえてほしいらしい。 「大げさだよ。若葉と湊、あんなに長く付き合ってるのに、進捗ゼロのままじゃ、湊のほうに問題あるんじゃないの」 上段のルームメイトがベッドの上から、私にウインクした。 美々は唇を噛み、悲しげに言った。
続きを読む第5話
ピン。 御堂蓮のボイスメッセージが、思考を引き戻した。甘くて、恋人同士だけが使うような囁きだった。 「荷物、多い?」 「わりと……」 「明日、取りに行く」 「うん」 私は【ありがとう】のスタンプを送った。 後ろめたいのは事実だ。とりあえず機嫌よくしておけば、後で何か知られても、本気で殺されずに済むはずだ。 「もう遅い。早く休め」 「わかった」 「おやすみ」 私は【おやすみ】のスタンプを返した。
続きを読む第6話
ホテル住まいの利点は、自分で掃除しなくていいことだ。 着替えた私は、ミネラルウォーターの袋を提げてバスケコートへ向かった。今日の午後は商学部対経済学部の試合がある。御堂蓮が、応援に来いと言ったのだ。 経済学部側の観客席を通ったところで、風間湊が突然現れて行く手を塞いだ。気勢たっぷりに言う。 「誰が来いって言った。
続きを読む第7話
コートは緊迫し、両チームとも全力だった。残り十秒、御堂蓮が高く跳び上がり、ボールが空にきれいな弧を描いて、ネットに吸い込まれる。会場が沸いた。商学部が五点差で勝った。 湊はボールを地面に叩きつけ、美々が彼のもとへ走って行った。 試合後、御堂蓮が皆を海鮮に連れて行った。彼女持ちは、全員呼び寄せろ、とのことだ。 「奥さん、蓮みたいな高嶺の花、どうやって落としたんですか」 横の木下実がからかう。
続きを読む第8話
御堂蓮の掌は温かい。夜色が彼に、どこか距離のある美しさをまとわせている。彼が私を見るたびに、心臓が飛び出しそうになる。 人は欲深い。最初は学園一のイケメンを借りて湊と美々を苛立たせたいだけだったのに、今は御堂蓮の中に私一人だけいてほしいと思う。 「若葉」 「ん?」 「今夜、イチゴジュース飲んだ。甘い。味見するか」 「うん……」 次の瞬間、御堂蓮は私の顎を持ち上げ、顔を寄せてきた。
続きを読む第9話
その日、私は御堂蓮と学食で食べていた。美々が珍しく一人で入ってきて、ご飯を取ると勝手に私の隣へ座った。向かいにいる御堂蓮に、なれなれしく話しかけてくる。 「奇遇だね。今日の学食、私の好きな酢豚があるの。若葉も好きだったよね?」 「嫌い。どうも」 美々は作り笑いをして、御堂蓮に言った。 「若葉、普段からああなの。口数少ないし、当たりも強いし。でも悪気はないのよ。
続きを読む第10話
その日、ホテルに着いたとたん、親友から連続着信が鳴った。 「口じゃ足りない。今すぐ掲示板見て」 不思議に思いながらパソコンを開き、学内の匿名掲示板を開くと、私に関するスレが目に飛び込んできた。 『青大に援交女子出現。学園一のイケメンを釣りつつ、別の男と頻繁にホテルイン』 道理で、さっき道で向けられた視線がおかしかったわけだ。記事には写真が二枚ついている。
続きを読む第11話
ほどなくある夕方、私は御堂蓮と手をつないでキャンパスを歩いていた。空の端が、派手な夕焼けに染まっている。頭の中に、御堂蓮と白髪になっても手をつないで帰る絵が浮かぶ。 「御堂蓮」 「ん」 「お父さんとお母さんは、どんな子が好きなの」 「俺が好きな子が、二人が好きな子だ」 「もし家が政略結婚を決めたら?」 御堂蓮が眉を一つ上げた。 「俺が政略結婚、必要か?」 御堂蓮は実際かなり追い込み型だ。
続きを読む第12話
美々の悪事は、ようやく表に出た。なのに私は、喜べなかった。御堂蓮は沈んだ私を見て、ホテルまで送ったあと、どうしても付き添うと言った。私が彼を枕にするのを許したまま、静かに頭を撫でている。 「御堂蓮、あなたって本当にいい人」 「そんなにいいなら、『旦那』って呼べよ」 「……」 長い沈黙に、御堂蓮は空気を和ませようとした。 「わかったわかった、冗談だ……」 「旦那……」 私は低く呼んだ。
続きを読む第13話
湊が去った直後、熱い腕に引き込まれた。 「嫁、俺はお前に誠実だぞ」 「お前にしか反応しない」 うん、伝わった。私は赤い顔で、疑いの目を向ける。御堂蓮は見つめられて落ち着かない。 「なんだよ」 「あなた、本当に噂の高冷な学園一のイケメン? 人、間違えた?」 「欲しいのは嫁だ。高冷はいらない」 「……」 あとになって知ったのだが、湊と美々の恋愛は、派手というより金で燃えていた。
続きを読む第14話
御堂蓮のほうが、先に拗ねた。 「お前の目に、俺がいなかったから」 「半年前の創立記念、覚えてるか。俺たち、同じ班だった」 私はうなずいた。御堂蓮に告白する前、二人の接点はその創立六十周年の式典だけだった。かなり盛大な祝いだった。古い卒業生が各地から集まり、すでに名を知られた人も、高い地位にいる人もいた。私と御堂蓮は同じボランティア班に入り、迎賓を担当した。
続きを読む番外
御堂蓮の体力は、人の域を外れている。次に目が覚めた時、窓の外にはもう高い月がかかっていた。御堂蓮は風呂から上がったばかりで、下にバスタオルを巻いただけだ。隣に横になり、瞬きもせず私を見ている。 「どうしたの」 「嫁、俺すごかっただろ」 私は白目を向け、布団で顔の半分を隠した。まだ少し恥ずかしい。御堂蓮は答えに執着し、もう一度私の上へ覆いかぶさってきた。私はすぐ降伏した。 「すごい。すごい。
続きを読む










