第3話 / 全21話

第3話

廊下が静かになった。イソジンとフロアワックスの匂いが鼻に入る。  時計を見る。九時十分。  九時半の取引先には、確実に間に合わない。

「社長」  バッグを提げる。 「先にどうぞ。私は地下鉄で帰ります」